読書欲が戻ってきたということで、面白いと思った本を書き留めておこうと思います。
私が読み切れる本はシンプルな英語で書かれているものが多いので、英語を勉強したいなと思っている方にはぜひおすすめです。(いろいろ難しい言葉で書かれていると、途中で飽きて疲れて投げ出してしまうことが多々です。笑)
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書名:Gang Leader for a Day
著者:Sudhir Vankatesh
ジャンル: 社会学
キーワード: 貧困問題、犯罪、ドラッグ

第一弾は、Sudhir Venkateshという社会学者の書いたGang Leader for a Dayという本です。
“Rogue Sociologist” (反逆の社会学者)なんていうニックネームのついた著者が、シカゴのギャンググループに飛び入り参加して、彼らと行動を共にした日々の記録、貧困、ドラッグ、売春についての考察をまとめあげた本です。
インド生まれの著者は、修士の学生としてシカゴ大学で勉強していました。卒論のテーマを考えていた時に、教授の反対を押し切って黒人しか近寄れないような地域にある団地を訪ね、ギャングに怪しまれつつも、なんとなくギャングのリーダーの信頼を勝ち取り、十数年をかけて友情のようなものを築き…
ギャングと時間を過ごした中で都市の貧困問題を観察し、伝記のような読みやすいトーンで書きまとめた本です。
これ映画にできるんじゃないかという展開が面白くって、ハラハラドキドキ一気読みしてしまいました。事実は小説より奇なり、です。
特に興味深かったのは、社会学者として著者が感じる心の葛藤の部分です。実際に薬物を売買したり、売春の手助けをしているギャング達と行動を共に過ごす中で犯罪(に近いもの)を目撃する立場となり、「社会学者として自分は事象を観察しているだけだ」と自分に言い聞かせる一方で、そんなのただの建前なんじゃないかと感づき始める葛藤。悪者、ただの観察対象であるはずのギャング達に愛着や同情を覚え、中立性を失ってしまう葛藤。著者は、そうした彼自身の迷いや悩みをとても正直に書いているなーという印象を受けました。
“No one back at the U of C had prepared me to feel such strong emotional connections to the people I studied.”
“こんなに強い心のつながりを観察対象である人たちと感じることになるなんて、シカゴ大の人は誰も前もって教えてくれなかった。”
貧困問題について書かれている本はたくさんありますが、東京郊外の平穏な団地で育った私にとっては、Eye openingな本でした。
フランスなどでも、アフリカ系の移民を郊外の団地に隔離してしまった結果、誰も近寄れないような犯罪の巣窟になってしまった地域があるとフランス人の友達から聞いたことがあるのですが(最強のふたり、という映画に描かれていたような感じなのでしょうか)、やはり人種の問題が絡み合うと貧困問題は一層複雑になってしまうのかなと感じました。
社会学は、分野もの裾野がとても広くて、誰にでも興味を持ちやすいテーマも多いかなと思うので、ぜひおすすめしたい一冊です。